01
March
はじめに
ウチにはちゃーにゃんという猫がいた。
イケメンで、ちょっと間抜けで、あまり細かいことは気にしない、やさしくおおらかな猫だった。
出会いは15年前。
ちゃーにゃんは元ノラだった。生まれは1999年の2~3月ごろ。(推定)
時代は世紀末、ノストラダムスは来なかったけど、その年の4月のある日、独身時代の旦那さんの家に突然素晴らしい毛玉がやってきた。
知り合いの新聞配達さんが、朝の配達途中に子猫を拾ってしまい、困って旦那さんの家まで連れてきたのだ。
実家でも猫を長年飼っていて大の猫好きだった旦那さんは、家を出て独身一人暮らしになっても、何度か野良の子猫を保護していたのだけど、いつも子猫の体がとても弱っていて、病院に行っても、看病しても、みんな1週間も持たずに死んでしまっていたのだそう。
その度に悲しくて悲しくて、
「きっと俺は縁起の悪いやつなんだ…俺が拾うと猫は死んでしまうから、もう拾わないほうがいいんだ…」
と、これ以上子猫を保護することをためらい、飼うことをあきらめるようになってしまっていたそう。
しかしそこに突然訪れた、やわらかくてあたたかい、小さな子猫。
でも手足もしっぽも長くてりっぱだった。
よし、これも縁だ。もう一度がんばろう。がんばって、今度こそ丈夫に元気に育てよう。
こうしてちゃーにゃんは、旦那さんの猫になったのでした。
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